新年度が始まりました。
4月になると、一気に花々が咲き始め、虫たちも姿を見せ、街全体がぐっとカラフルになります。春はまるで生命力そのもののようで、自然と気持ちも前を向きます。
駅には、式典用の洋服に身を包んだ親子連れや、新しい定期券を手にする学生たちの姿があふれ、どこか特別な活気に満ちています。
一方で、弊社は今年、新入社員がいないため、例年より少し静かな新年度のスタートとなりました。
そんな中、私の家庭では小さな変化がありました。娘が中学2年生になったのです。
卒業式と入学式を経て、ついに「先輩」と呼ばれる立場になりました。3年生は何事にも一生懸命で、後輩にも優しい素晴らしい存在だったようで、卒業式ではその歌声に感動し、涙したそうです。周りの同級生たちも同じように涙を流していたと聞きました。
「あと2年で、あんなふうになれるのかな」
そんな言葉を口にする娘の姿に、3年生を尊敬する気持ちと、自身への期待、そして少しの不安が入り混じっているのを感じました。
「なれるよ」
そう返事をしました。
一方で、新入生の小ささにも驚いたようです。「自分たちはそんなに大きくなったつもりはないけど、実はかなり成長しているのかもしれない」と。本人の自覚とは裏腹に、時間は確実に積み重なっています。
とはいえ、中学2年生になったからといって、急に大人になるわけではありません。最近は鏡を見る時間が増え、出かける前のビジュアルチェックには余念がありません。
気がつけば、身長も私を追い越しました。
言葉も達者になり、時には言い負かされることもあります。
そんな娘にとって、私は「ノリの悪い母親」だそうです。
正直、思い当たる節はあります。日々やるべきことに追われ、親として正しくあろうとするあまり、共感が足りなかったり、反応が薄かったりすることもあるのでしょう。
兄弟姉妹のいない我が家では、私は娘にとって喧嘩相手にはなれても、心から盛り上がれる相手にはなれていないようです。
「ノリの良さ」は、どうやら私の得意分野ではありません。
それでも、母としてできること、向いていることを見てほしい——そんなことを思います。
そして、もう小さくないからと頭で考えてしまうのがダメ母の所以なのですが、ひとつ確かな方法があります。
ハグです。
まだ、ハグひとつで全てが丸く収まる年頃なんです。
成長しない母ではありますが、この「ハグの魔法」が効くうちに、そしてハグができるうちに、しっかりハグしていこうと思います。
新年度、それぞれの場所でそれぞれの成長があります。
わが家の春も小さく動き始めています。

令和8年 4月
有限会社ジェット 廣田 知子






