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学参デザイン・組版・図版クリエイター

高齢化と秋祭り

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10月15日は、地域の氏神様を祭る秋祭りが行われました。
町内では、家々を縄でつなぎお清めの為、白い紙を下げます。
広島特有のようですが、古くから御幣(ごへい)と言われているようです。
この白い紙は、半紙を5等分して、3分の2ほど切り込みを2本入れて、
真ん中を縄の間に等間隔で挟み込んで、家々を繋ぎ飾ります。

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以前は毎年、となり合わせた10軒の講中の人たちと
道作りなど呼ばれる共同作業で道路の草取りや清掃を行い、
その後で御幣を取り付けていました。
また、大きな奉寄進幟(ほうきしんのぼり)も
男性陣が集まり力を合わせ、竿のてっぺんに竹の笹など取り付けて、
幟台(のぼりだい)に立てていました。

家々に御幣が飾られると何か厳かな気持ちになり、
清められ清々しい気持ちになっていましたが…

10軒の講中は3軒空き家になり、残り6軒は高齢者か一人暮らし、現役世代1軒のみとなっています。
その為、講中の古い方から御幣の取り付けや幟立てを中止したいと提案があり、
現在はやむを得ず、祭りのための共同作業は無くなりました。

少し寂しい気持ちを持っていますが、
私も高齢の年になり、率先して地域のお世話をする自信もなく仕方がない事です。

地区の氏神様は三宅神社といい、祭りの最後は各町内の神輿(みこし)がお参りに集まります。
前夜祭には神楽(かぐら)が舞われ、多くの人が訪れ、夜遅くまでお囃子が響いています。

ぴぃひゃら、ぴぃひゃら……
懐かしく心躍る音色がいつまでも聞けるといいなと思います。
神楽やお囃子同好会の方々の音色に寂しさを少し癒されます。

今のところ、他の講中は御幣の飾りを続けられている所も有り、
秋祭りに御幣が全くみれないと言う事はないのですが、
白い半紙で作られた御幣で神への奉り物(たてまつりもの)とし、
今年の収穫を感謝する美しい習わしの姿を失うことを心寂しく感じます。

古いものが少しずつ消えていくのは仕方がないのでしょうが
感謝の心まで失わないようにしなければならないと思います。


〈学参デザイン・組版・イラストのクリエイター〉 有限会社ジェット 廣田久美子

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