一歩一歩、着実な歩みを
学参デザイン・組版・図版クリエイター

市川海老蔵

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2006年6月頃、テレビで伊藤園の『おーいお茶』のコマーシャルが流れていた。
その時、目を奪われたのは市川海老蔵(十一代目)の助六姿!
研ぎすまされた、一部の隙のない美しい姿に釘付けになり、
『歌舞伎』を初めて意識したのです。ebizou
歌舞伎の知識も見識も無く、ただ美しいと思うだけ、
そして、一度で良いから公演を見たいと願っていましたが、
時間に追われ、その機会にはなかなか恵まれませんでした。

ところが、2015年3月4日(水) に広島公演があることを
2月中旬ごろ知り、チケットが取れれば行きたいと思い、
問い合わせると残り2枚のうちの1枚が買えました。
この公演は海老蔵さんの構想で『藤壺を中心にした源氏物語』に
能、オペラ、歌舞伎、さらには華道といった、さまざまな芸術を
一つの舞台に融合させたものでした。

それぞれに素晴らしいのですが、特筆すべきは日本(江戸)伝統文化の力強さでした。
長唄の声量には圧倒され、三味線の音の響きは強く心を揺さぶり、
海老蔵の光源氏のこの世の物とは思えない美しい姿や所作に、
改めて、歌舞伎という日本(江戸)伝統文化の素晴らしさを知る事になりました。

歌舞伎は世襲の世界なので、
幼い時から厳しい修行により親から子に家の伝統芸能が引き継がれるようですが、
教育方針もしっかりと伝統に支えられた確固たるものがあるのでしょうか。
そのような密な親子関係は現代の日本では少なくなった様に思います。

この度、最愛の奥様を亡くされ海老蔵さんひとりで家を守るに事なり、
幼い勧玄君も悲しみの涙も乾かぬうちに立派に初舞台をこなされた事などが
テレビなどで報道されていました。世襲の重さと厳しさを思い知らされます。

海老蔵さんのブログから
歌舞伎というものから様々な事を教わり学び今のわたしがある。
礼儀や情熱 猪突猛進の心 童の心 無である事 故に有である事。

歌舞伎に対する真摯な気持ちと、家の伝統芸能を守り抜く姿勢に感銘し
いつか十二代目の市川海老蔵の公演が開かれる日を期待し応援しています。
末筆になりましたが心から奥様のご冥福をお祈り申し上げます。

平成27年7月〈学参デザイン・組版・イラストのクリエイター〉  有限会社ジェット 廣田 久美子

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